パナソニック エレクトリックワークス株式会社 主務 見市様

パナソニック エレクトリックワークス株式会社
パナソニック エレクトリックワークス株式会社は、ガスメータに搭載されるセンサーや無線通信デバイスなど、安心・安全な社会インフラを支える製品の開発・製造を行っている会社です。
奈良工場 工場管理課安全衛生管理係で安全衛生事務局を担当されている見市様は、率直に語り始めました。
フォークリフトが行き交う倉庫エリアに、聴覚障がいのある作業者が5名。音による情報を受け取りにくい環境で働く作業者をどう守るか。
──その課題に向き合った現場が、解決策として選んだのが、「Wアラート」の導入でした。
Wアラートの導入前は「気をつけてね」「運転手も気を付けるけど、ちゃんと周りを見て作業してね」という注意喚起が中心でした。フォークリフトの回転灯が点滅しているので、「光がチカチカしたら近づいてくるよ」という視覚的なサインはありました。
うちの工場で一番リスクが高い車両がフォークリフトです。材料管理のエリアでは、荷物をパレットに積んで仕分けし、各工場に届けるという作業をしています。そのパレットが高さ1m以上あり、検品でバーコードを読んでいると、パレットの陰に隠れてしまい、フォークリフトの運転者からは見えません。接触事故に至ったわけではありませんが、「危ないなあ」という場面が、現場で繰り返し発生していることが気になっていました。


コロナ禍に夜間の避難訓練を実施しました。初めての夜間訓練で、場所もいつもと違う。マスクをして、ヘルメットをかぶって、暗い中で「こっちに来て」と遠くから声をかけても、聴覚障がいのある方は当然聞こえない。 安全担当として、聴覚障がいのある方が安心して働けるよう、周囲が環境を整える必要があると気づきました。まず、ヘルメットの左側に蝶の蓄光シールを貼るようにしました。「蝶マークがある人は聴覚障がいがあるから、誰かがサポートしてあげてください」と周りの人に伝えるためです。 彼らへの配慮が必要であることを改めて意識するようになりました。
昼の作業でも同じことを考えるようになりました。音による情報を受け取りにくい作業者の方が、同じ現場で働いている。フォークリフトを運転している人も守り、聴覚障がいのある方も守らなければいけない。事故が起きたら、被害者も加害者も、両方が不幸になる。その両方を守れる手段が必要だと、展示会に足を運ぶようになりました。
全国安全衛生大会※1のときです。毎年、安全に関する新しい情報やヒントを探しに展示会へ足を運んでいます。
Wアラートを見た時、「これは聴覚障がいのある方に非常に有効ではないか」 とすぐに感じました。 特に印象的だったのが、振動タグによる通知です。 これまで見てきた製品は音や光による警報が中心だったからです。 周囲からの注意や視覚的なサインだけでは、本人が気づけない場面もあります。Wアラートは作業者本人へ直接振動で知らせることができるため、自ら危険を認識し、行動につなげられる点に大きな価値を感じました。聴覚障がいのある方自身が危険を認識し、安心して作業できる職場づくりにつながる仕組みだと感じました。
※1 全国安全衛生大会とは 企業や団体が全国規模で安全衛生(労働災害防止・健康管理・職場環境改善など)について学び、取り組みを共有するために開催される大会


「気軽に使えること」が一番のポイントでした。重たい機器を毎日背負ってとなると、最初はやるかもしれないけれど、やはり続きません。Wアラートのタグは小さくて軽い。 ただ、ポケットに入れると振動が伝わりにくいという課題がありました。そこで、吉川工業の営業担当の方が100円ショップで伸縮性があって体にフィットする小さなウエストポーチを買ってきてくれたんです。「これどうですかね」って。腰の位置でポーチにタグを入れることで、振動が体にしっかり伝わるようになりました。シンプルな工夫ですが、運用が一気に安定したので、感謝しています。

一番大きいのは「安心感」です。 聴覚障がいのある作業者は、自分で気づけるようになり、不安が減りました。一方、フォークリフトの運転手も、常に神経を張り詰める状態から少し解放され、安心して操作できるようになりました。 また、ヒヤリハットの意識や報告の質にも変化が見られ、安全に対する意識向上にもつながっています。
聴覚障がいのある方たちも「自分たちのことをこういう形で考えてくれているんだ」と感じてくれて、取り組みが社内に広まるにつれて、一般の作業者も「ここまでみんなの安全を考えているなら、自分たちのことも大切に考えてくれているんだ」という空気ができていきました。安全への取り組みが、職場全体のコミュニケーションを変えていくことを実感しています。
社内外で非常に高い評価を得ています。
社内の安全活動事例として表彰されましたし、社外でも個別活動事例大会で最優秀賞をいただきました。 社外で発表したことで、「これはどこの会社の商品ですか?」という問い合わせが私の方にも来ているくらいで、本当に導入して良かったと感じています。
はい。安全の取り組みは、副次的な効果として採用にも好影響がありました。去年、聴覚障がいのある方がインターンシップに来られました。その方が「ここは安心して働ける、すごく働きやすい職場だ」と感じてくださって、入社されました。工場というと、聴覚障がいのある方にとってはハードルが高い職場のイメージがあると思います。でも、このような取り組みが積み重なることで、「ここなら安心して働ける」と感じてもらえる。安全の取り組みが、採用活動にまで波及しているということだと思います。

私たちは「ありがとうパトロール」という考え方を大切にしています。
以前は、「ここができていない」「ここを改善しなさい」 という指摘中心の安全活動になりがちでした。
しかし、「現場を支えてくれてありがとう」「現場をちゃんと回してくれてありがとう」という感謝を伝えることで、現場とのコミュニケーションは大きく変わりました。 感謝を伝えることで、現場からも「もっとこうしてほしい」「こんなものがあればもっと安心して働ける」といった前向きな意見も自然と出てくるようになりました。一方通行の指摘では、現場側も受け身になってしまいます。双方向のキャッチボールができる環境をつくることが、ヒヤリハットの低減や安全文化の醸成につながっていると感じています。Wアラートも、「この機械をつけなさい」ではなく、「これを使うことでお互いが安心できる」という伝え方をしました。

安全は、すべての従業員に平等に提供されるべきものです。特に障がいのある方に対しては、本人の努力だけに頼るのではなく、企業側が安心して働ける環境を整備することが重要だと考えています。Wアラートは、聴覚障がいのある方を守るだけでなく、フォークリフト運転者を含めた現場全体の安全につながる仕組みです。誰も事故の被害者にも加害者にもならない職場づくりに向けて、重要な役割を果たすと考えています。
今回の取材を通じて、Wアラートは単なる安全機器ではなく、現場で働く一人ひとりが安心して働ける環境づくりを支える仕組みであることを改めて感じました。 特に、聴覚障がいのある作業者とフォークリフト運転者の双方を守るという考え方や、 「ありがとうパトロール」といった現場との対話を大切にした安全活動に見市様の強い想いを感じました。 現場の声を大切にしながら安全文化を築いていく姿勢は、私たちも学ぶべき点が多く、 安全の取り組みに改めて向き合うきっかけとなりました。 今後も、現場の声に耳を傾けながら、誰もが安心して働ける環境づくりに貢献できる製品・サービスの提供に尽力してまいります。
運用例の詳細はこちら:
フォークリフトと作業者の接近検知